August 08, 2006

王と鳥

060808.jpg

待ちわびた<王と鳥>を見に行って来ました。
内容は<羊飼い娘と煙突掃除人(羊飼いの娘と煙突掃除)>をヒントに、
そこからオリジナリティのある、いつになっても褪せない物語にした、というかんじ。
主人公である「王」の顔が強烈で、どうにも見に行きたくなったのでした。

見終わった感想は…面白かったです。
見た目からいうと、とにかく絵がきれい。
アニメーション作りの知識はあんまりないのですが、この頃は紙に描いているような気がします。
とくに背景の質感がなんとなく画用紙のような…。柔らかい印象。
つぎはぎ増築の宮殿も素敵でした。

そしてアイデアが面白い!
王様の超高層の宮殿の最上階には王様の秘密のアパルトマンが…
そんなひとりだけの隔離された秘密の部屋という空間に弱いのもあるんだけど、
そこへ行くのにはかなり高度な技術のエレベーターに乗ってゆくんです。
このエレベーターを含め、王様周りの道具や機械、部屋はどれも意表を付いたものばかり。
(意表っぷりだけでいうと<ロバと王女>にも近しいものがるような。
 もしかしてフランス特有の感覚?フランス人がアニメにはまる気持ちがちょっと分かるような…。)
他にもルパン三世にも繋がるような足こぎの空飛ぶ飛行船の仕組みにも笑えました。

機械・道具以外では、これが描かれたのとそうでないのとでは違ったんじゃないかと思う
"マントで空を飛べる警官"が気になりました。
ここまでも非現実的ではあったけど、改めてその部分を感じられたような。

更にキャラクターが普通に面白い。
笑える部分はそんなないんじゃないか、と思ってましたが意外と素直に笑えます。
何考えてるか分かるような人間味のある感情と表情がちゃんと盛り込まれてました。

そんなわけで一見面白い王様なんだけど、
王様は人嫌いで簡単に人を高層階から落として殺してしまうという暴君なのです。
王様の落とし穴のスイッチはデリートキーを打つように簡単。殺人を犯してる意識は皆無のようです。
そしてそんな王様自身も自分の分身にデリートされちゃうところからストーリーは始まります。
自分を無くす、なんて独裁者らしいといえば、らしい。

作品解説の重要な部分<世界のシステム>については、
色んなところに書かれているので読んでみると意味が深まって面白いです。
そのまんまのことには日本で育った私には実感のない部分もあるけども、
先日の<絵本のたび>で感じたのと同じ、世界の他の国で<そのまんま>を実感している人がいるんだろうなぁ。

最後に全てを壊した跡に瓦礫に腰掛けほうけるロボットの姿が絵になって良かったです。
(瓦礫に下敷きになった小さな黄色い花を摘んでみても良かったな…。)
とにかく目の前の壁は壊したけども、ここから先どうしようか、みたいな。
辺りは何もない荒野が続いているし、何も持たないところからの出発が始まるのです。
たくさんの人を巻き添えにしたんだね。

投稿者 orangeworks : August 8, 2006 11:48 PM
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