April 16, 2006

故郷

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例のごとく、実家の父の本棚から引っ張り出して来て読んだ本があって、それは舞台美術家の妹尾河童さんの本だった。河童さんの本は本棚に2册あって1册(河童の手の内幕の内)読んで面白かったのでもう1册も…と手にとったのだ。それが<河童のタクアンかじり歩き>。

沢庵にまつわることを中心に脱線していったりもするわけなのだけど、その中でも興味深かったというか、なんか適当な言葉が思い付かないんだけど(こんな書き方するのは今読んでる本がこんなかんじで私にとってはとても気持ちが良いためなんですが)とにかくポツンと物悲しくなった話が2つあった。

ひとつは土呂久の公害の話で、花森さんの展示を思い出した。まだ公害問題は継続しているし、今後も新しく起こりうると思うから、せめて国内のことくらいもうちょっと知ってても良いんじゃないか?と自分が情けない。私はあまりに知らなさすぎるし、忘れすぎてしまってどうもいけない。

もうひとつは<サクランボ・ユートピア>の記述だった。
「故郷を持たない」という感覚らしいが、東京の都会で生まれ育った若者が今でいうとTOKIOのダッシュ村の生活に憧れを抱くかんじで「田舎の」故郷に憧れ、だったら自分たちで田舎の故郷を作ろう!と作ったのが<サクランボ・ユートピア>だった、というふうだと思う。*間違ってたらごめんなさい。
(問題点はさておき、作ろう!と思い立ち実際行動に起こせたパワーがすごい。陽のエネルギー。)

私の実家であり、生まれ育った場所は片田舎にあるので「故郷を自分たちで作る」という念は抱いたことが一度もなくって気持ちは分からない部分が多いけど、でもこれを読んだときにあることが浮かんだ。

いつか見た外国の短編アニメで、荒れ果てた部屋の中、凄まじい戦争の痕のような人の灰が残り、吹き込んだ風がその灰を飛ばしている。外はもっと絶望的な景色が広がっていて誰ひとり影も見当たらない。1羽の鳥(鳩)だけが生きていてなんとか羽ばたいてある家の中に逃げ込むように入って、確かプロジェクターのようなスイッチを体で押してしまって、壁にユートピアが写し出されて…鳩は一生懸命そこの景色の中に入ろうとして何度も体を壁にぶつけてやがて力尽きてしまう…という物悲しい内容。そのときの気持ちを思い出した。
同じような(?)かんじで、<未来少年コナン>でのかつての大工業都市インダストリアの三角塔の上のほうの部屋にある視聴覚室のような部屋に写し出される公園の映像も思い出した。

そういう発想はいつになっても誰かしら持つものなんだと思う。そしてその時が来たら実際そういう装置を作ってしまいかねないとも思う。

よかれと思ってこうなったんだろうけど、確かにひと1人の力ではここまで覆い尽くせはしないし、この先はもっと「自分は東京のど真ん中に生まれたけどもっと田舎に生まれたかった!故郷はこんなはずじゃない!」って子も出てくるのかも知れない。

とにかく実際にそう思って、理想の故郷を自分たちで作りたい!と思って行動に起こした人たちがいたってことに言い様のないものを感じた。自分で感じることは出来ても能がないので人に伝えられなくて悲しいなぁ。ちなみにその発起人は東由多加という演劇人。詳しくは知らないことが多いのでとりあえず柳美里さんの小説を読めば少しは分かるのかなぁと思う今日この頃。

*と、いうことで画像は実家近くの公園にある柳(の枝)。なんのこっちゃ。
私の一番すきな木は柳の木なのです。とくに新芽の頃の色が綺麗で好き。

投稿者 orangeworks : April 16, 2006 03:01 AM
コメント

再びコメントありがとうございます。
読み逃げも歓迎ですよ。

ラジオでの発表、想像しか出来ませんがさぞ情熱的だったでしょうね!どんな気持ちで聞いていたんでしょう?

近頃は転機が必要な村や町がたくさんあると思うので、河童さんの本を読んだとき、なんだかただ昔のこととは思えないものを感じました。
田舎を作るっていうのは今では維持が大変でしょうけど、新しく立派な施設が出来れば良いっていうのも寂しいですよね。

Posted by: sati : May 18, 2006 05:35 PM

おひさしぶりです。
ときどき読み逃げしてました、ごめんなさい。
でも、orangeworksさんの選ぶものや触覚が動くものには、なんだか無視して通れないものがあって、それこそこの記事に書かれているように、「自分で感じることはできても・・・・」という思いになります。
何故でせう、絵空事や流行りとはちがう、ほんとうに良いと思うものに、
追うのでなく寄り添って書いていらっしゃるからかな。

東京キッドブラザーズのさくらんぼユートピア、なつかしいです。少女の頃、深夜のラジオでこの構想を初めて発表したのを丁度聴いていたのでした。

Posted by: セイ : May 15, 2006 01:34 AM
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